高血圧症とは
心臓は血液を全身へ送り出すためのポンプの役割を果たしています。また、血管にはゴムのような弾力性があります。血圧とは、心臓がポンプのように血液を血管に送り出す際にかかる圧力のことを言います。
そして、この血圧が、ある一定の範囲を超えて慢性的に高く維持されている状態を「高血圧症」といいます。
高血圧は自覚症状がほとんどないため、「サイレントキラー（沈黙の殺人者）」とも呼ばれています。しかし、放置すると血管に常に高い圧力がかかり続け、動脈硬化が進行します。その結果、脳卒中（脳梗塞、脳出血）や心筋梗塞、狭心症、腎臓病といった、命に関わる重大な病気を引き起こすリスクが高まります。
〇以下のような項目に該当する方はご相談ください
・健康診断で血圧が高いと指摘された
・ご家族に高血圧の方がいる
・塩分の多い食事を摂ることが多い
・まれに、頭痛やめまい、肩こりなどの症状がある
・動悸、息切れ、足のむくみなどがある
上記のような項目に該当する方は高血圧の可能性が高いです。高血圧は自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行していることが多い病気です。当院では高血圧の診察・治療にも力を入れています。お気軽にご相談してください。
〇高血圧の原因
高血圧症は、原因によって「本態性高血圧症」と「二次性高血圧症」の2種類に分けられます。
＜本態性高血圧症＞
日本人の高血圧患者の約9割を占めるのが、原因が特定できない本態性高血圧症です。
これは、単一の原因ではなく、遺伝子要因や生活習慣（塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、ストレス、喫煙、過度の飲酒など）といった複数の要因が組み合わさって発症すると考えられています。
＜二次性高血圧症＞
高血圧患者の約1割は、腎臓の病気やホルモンの異常、睡眠時無呼吸症候群など、他の病気が原因で血圧が上昇する二次性高血圧症です。
このタイプは、原因となる病気を治療することで高血圧が改善、あるいは完治する可能性があります。
〇高血圧による症状・合併症
高血圧は自覚症状がほとんどありませんが、放置すると、常に血管に高い圧力がかかり続けることで血管壁がダメージを受け、厚く硬くなる動脈硬化が進行します。
動脈硬化が進行すると、血流が悪化したり、血管が詰まったり破れたりするリスクが高まります。
その結果、脳卒中（脳梗塞、脳出血）、心筋梗塞や狭心症といった心臓病、腎臓病（腎不全）など、命に関わる重大な合併症を引き起こす可能性があります。
〇高血圧の治療法
高血圧治療の目的は、単に血圧を下げることではなく、将来起こりうる脳卒中や心筋梗塞、腎不全といった、命に関わる重大な合併症を防ぐことです。
治療は主に食事療法や運動療法などの生活習慣の改善から始め、必要に応じて薬物療法を併用します。
＜食事療法＞
・食塩摂取の制限：日本人の高血圧の最大の要因は食塩の過剰摂取であり、治療の基本となります。塩分を摂取しすぎるとそれを薄めるために、細胞組織中から水分を取り込んでしまい、血液量は多くなります。心臓内に流入する血液量が増えると、心臓が全身に送るための力が余計に強くなり、高血圧を発症してしまいます。目標は1日の食塩摂取量を6g未満に抑えることです。まずは普段の食事において、出汁や香味野菜、酸味などを活用し、薄味に慣れることから始めましょう。
・栄養バランスの見直し：まずは野菜や果物を積極的に摂取しましょう。これらに含まれるカリウムには、体内の塩分を排出しやすくする作用があります。また、脂肪分の多い食事は避け、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
・カロリー・脂質摂取の制限：肥満と高血圧は密接に関わっており、肥満体型を改善することは高血圧症の改善にも繋がります。肥満体型の原因になる脂っこいもの、脂肪分を多く含むものの過剰摂取は動脈硬化を促進させます。豚・牛肉やバター、マヨネーズなどの摂取をできるだけ避けることが必要となります。
＜運動療法＞
有酸素運動を無理なく続けることは高血圧の治療において効果的と言われています。
ウォーキング、軽いジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動が推奨されます。決してきつい運動である必要はなく、息がやや上がる程度、脈拍が1分間に100〜120回程度を目安に、1日30分以上、週に3回以上など、無理なく継続することが重要です。
＜その他の生活習慣の改善＞
・節酒と禁煙：過度な飲酒や喫煙は血圧を上昇させる原因です。節酒を心がけ、禁煙を目指しましょう。
・ストレス管理と十分な睡眠：ストレスや睡眠不足は血圧を上昇させる要因となります。趣味を持つ、十分な睡眠時間を確保するなど、心身を休ませることも大切です。
・入浴：入浴は血管を広げ血行を良くするため、血圧を下げる効果やリラックス効果が期待できます。ただし、心臓に持病がある方や長時間の入浴は注意が必要です。
＜薬物療法＞
生活習慣の改善だけでは血圧のコントロールが難しい場合には、降圧薬による治療を行います。
薬物療法の目的は、血圧をコントロールして臓器障害や合併症を予防することです。降圧薬には、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、利尿薬、β遮断薬など様々な種類があり、患者さん一人ひとりの状態や合併症の有無などを考慮して薬を処方いたします。
自己判断で薬の量を減らしたり中断したりすると、血圧が再び上昇することがあるため、必ず医師の指示通りに服用を続けることが重要です。
〇高血圧のことはクリニック・パーク久米川にご相談ください
高血圧は、自覚症状がないまま静かに進行し、ある日突然、命に関わる病気を引き起こす可能性がある怖い病気です。
高血圧の治療は、早く始めるほど将来の重篤な合併症のリスクを減らすことができます。
当院では、患者様一人ひとりのライフスタイルに合わせた無理のない治療計画を一緒に考えてまいります。
血圧のことだけでなく、食事や運動、その他気になることがあれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。