待合室の絵画作品

安田 悠  Yu Yasuda
《Between -Hikari no yuragi-》2021年
1620×970mm, キャンバスに油彩
《Floating》2021年
333×333mm, キャンバスに油彩

中間色の何層ものレイヤーが生み出す水の動きや、時間や空間の流れを感じさせる風景を連想させる流動的な世界が特徴的な油彩画を描く現代美術作家。制作過程では、各々の筆が残す一瞬一瞬に起こる事象を色彩や色の形態の偶然性として繋げながら、全体として移ろい流れゆくイメージが生み出されていきます。本作品ではクリニック・パーク久米川に集う人々が癒されるような透明感や光の揺らぎを表現しています。それらが流れ広がり、意識の奥の方で繋がることで、新たな時間と穏やかな空間が生まれることを願います。 

作家プロフィール
1982年香川県生まれ。2007年、武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。これまでの展示に「VOCA展 2008」(上野の森美術館、東京、2008年)、「Art in an Office」(豊田市美術館、愛知、2011年)、「横浜美術館コレクション光をめぐる表現」(横浜美術館、横浜、2012年)など。虎ノ門ヒルズレジデンスのパブリックワークも手がけている。
https://www.yu-yasuda.com

待合室の写真作品

川内倫子 Rinko Kawauchi
《Untitled》2010年               
178x127mm, C プリント 

自然と人の営みを撮り続ける写真家。熊本の壮大な風景に魅せられた川内倫子は熊本市現代美術館での個展で撮りおろした「川が私を受け入れてくれた」や、阿蘇の野焼きに 4 年間通って撮影した「あめつち」を発表しています。 この作品は、2016 年の熊本の地震にのためのチャリティとして制作されたプリントです。

プロフィール
1972 年、滋賀県生まれ。写真家。2002 年、『うたたね』『花火』で第 27 回木村伊兵衛写真賞受賞。2009 年に第 25 回 ICP インフィニティ・アワード芸術部門を受賞するなど、国際的にも高い評価を受け、国内外で数多くの展 覧会を行う。主な個展に、2005 年「AILA + Cui Cui + the eyes, the ears,」 カルティエ現代美術財団(パリ)、 2012 年「照度 あめつち 影を見る」東京都写真美術館、2016 年「川が私を受け入れてくれた」熊本市現代美術館 などがある。著作は写真絵本『はじまりのひ』(2018 年)、作品集『Halo』(2017 年)など多数。
http://rinkokawauchi.com

書棚のアート

狩野哲郎 TETSURO KANO
《Savage structures / 野生のストラクチャ》2013年
既製のガラス製品

既製品や植物を組み合わせることで新しい「風景」を造り出す作家。モノや空間があらかじめ持っていた意味や機能から逸脱して扱われることで、人間にとっての価値観や認識方法が宙づりにされ、普段、私達が意識することのない新たな知覚や複数的な世界の想像を促します。

プロフィール
1980年宮城県生まれ。2005年東京造形大学造形学部デザイン学科卒業。2007年同大学院造形研究科美術研究領域修士課程修了。近年の主な個展に、「あいまいな地図、明確なテリトリー / Abstract maps, Concrete territories」(モエレ沼公園 ガラスのピラミッド、札幌、2013年)、「純粋な標識 / Clear signs, Vivid tones」(ハラ ミュージアム アーク、群馬、2012年)、「自然の設計 / Naturplan」(ブルームバーグ・パヴィリオン・プロジェクト、東京都現代美術館パブリック・プラザ、東京、2011年)、主なグループ展に、「芸術植物園」(愛知県美術館、愛知、2015年)、「想像しなおし」(福岡市美術館、福岡、2014年)、「呼吸する環礁-モルディブ-日本現代美術展」(モルディブ国立美術館、モルディブ、2012年)、「庭をめぐれば」(ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡、2012年)など。
http://www.tkano.com

書棚の絵画

上田暁子 AKIKO UEDA
《Pink flog》

再現や表象としての絵画ではなく、何かの事象が変質・変容していく過程やその瞬間、あるいはその成り行きとして現れてくるような絵画のあり方に関心を寄せて制作に取り組む油彩画家。「Pink frog」という作品の制作過程においては、絵の具が重ねられたキャンバスの中に一瞬しか現れない水の波紋のような「動きの痕」を見いだし、見えている瞬間の前後の物語を想起させる一枚にしたいと筆を進めました。誰も見たことのない不確かな(例えばPink frogなのかもしれない)存在はどこから来てどこへ行ったのか、思いを馳せてみてください。

プロフィール
1983年京都市生まれ、現在ベルギー、ブリュッセル在住。2006年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業、2020年ブリュッセル王立芸術大学絵画コース修士課程修了。2018年ポーラ美術振興財団在外研修員。主な個展に「DÉJÀ-MAIS-VU」( CENTRALE.lab 、ブリュッセル、2021年)、「絵画が画家の寝顔を見る時」(第一生命南ギャラリー、東京、2015年)、「ARKO2012/上田暁子」(大原美術館、倉敷、2012年)、「世界は大きな花束でもある」(清須市はるひ美術館、清須、2009年)、グループ展に「自動と構成」(ポーラ ミュージアム アネックス展、東京、2021年)、「Night Walk, Day Sleep」(Gallery Medium 、ブラチスラヴァ、スロヴァキア、2019年)、「ネオヴィジョン新たな広がり」(信濃美術館、長野、2017年)、「VOCA展2011」(上野の森美術館、東京、2011年)。
http://www.uedaakiko.com